医師会の紹介
尾道市医師会独自の各種プロジェクト
膵癌早期診断プロジェクト (2007年~)
尾道市医師会では2007年から中核病院と連携施設が協働で、予後不良で難治癌とされてきた膵癌の早期発見を目的とした『膵癌早期診断プロジェクト(尾道方式)』を展開しています。
このプロジェクトは、従来から在宅緩和ケアシステムの整備を通じて良好な病診連携が構築されていた当医師会において、病診連携を基軸とした『膵癌の早期診断の体制作り』に結びつけるべく、当時医師会長であった片山 壽先生の御尽力で開始されました。
具体的には、まず中核病院から地域連携施設に、日本膵臓学会発行の“膵癌診療ガイドライン”に記載されている危険因子を啓発するとともに、中核病院に整備された超音波内視鏡(EUS)、磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)など、膵に関する非侵襲的画像診断の有用性、腹部超音波(US)スクリ-ニングでの軽微な膵管拡張の重要性を啓発するとともに、US撮像法の講習等を実施しています。一方、連携施設では、危険因子を複数以上有する症例等を中心にUSを施行し、異常所見を認めた場合には中核病院に積極的に紹介、CT、MRCP、EUSなどの非侵襲的な画像診断を中核病院の外来で施行することを基本的なコンセプトとしています(図1)。
中核病院では、外来での画像所見に応じて、EUSガイド下穿刺吸引細胞組織診(EUS-FNA)、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行い、所見に応じて内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)留置下の複数回膵液細胞診を施行する体制としています。経過観察の場合は、中核病院と連携施設が分担してそれぞれの役割を果たしています。
その結果、2007年1月から2022年12月の間に、28185例の膵癌疑いの受診者から813例の膵癌を組織学的に確定しました。そのうち、Stage0に該当する膵上皮内癌が41例、Stage Iが99例と、短期間に多数の早期診断症例を診断しています。早期診断例の増加は確実に予後の改善に繋がっており、プロジェクト開始以降、5年生存率は2017年の診断症例で21.4%と大幅な改善を認めており、全国平均8.5%を大きく上回っています。
尾道方式は、現在全国50カ所以上の地域で展開が始まっており、医師会と連携施設が協働するタイプ、大学病院と関連施設が協働するタイプ、検診施設と大学病院が協働するタイプが存在しています。
尾道の成果を受けて、2022年11月からは広島県、広島県医師会、広島大学が協働し、尾道方式を基軸とした全県下で膵癌早期診断プロジェクト(Hi-PEACEプロジェクト)が開始されました。今後、広島県下での生存率改善が期待されています。
尾道市医師会End-of-life-careシステム検討委員会(2006年~2012年)
尾道市医師会の各種プロジェクト委員会の統合委員会で在宅緩和ケア・地域がん診療パス・地域医療連携と行政(尾道市+保健所)との協働を目指す地域包括ケアシステムの整備委員会
尾道市医師会end-of-life-careシステム検討・拡大委員会での地域研修(2009年)
全スタッフ対象の15回の連続研修
片山が厚生労働省研究者として第3次対がん戦略研究事業(平成22年~25年)を受託
課題「在宅がん患者・家族を支える医療・福祉の連携向上のためのシステム構築に関する研究」
参考文献
単著:片山 壽 父の背中の地域医療 2009 社会保険研究所
尾道市医師会GEMsプロジェクト(2007年)
尾道市医師会システム理論「CGA」の地域配備としての尾道圏域のプロジェクト
※敬称略
尾道市医師会エンゼルプロジェクト(1998年より・名称変更2006年)
顧問:石井大二(参与)
委員長:片山(医師会長)
担当理事 堀田正英(産婦人科)
医師会理事:宮野良隆、花房 晶
産婦人科医会:吉原英介、長谷川吟子 小児科医会:宇根幸治、宮地佐和子、佐々木伸幸(JA尾道総合病院) 吉広助産師会長、松井社会福祉協議会地域福祉課長、森田尾道市子育て支援課長、奥本児童委員協議会副会長、佐藤健康推進課保健師、(敬称略)
新地域ケアおのみち2009
尾道警察署長・各課長、老人クラブ連合会長・尾道市(副市長・教育長・学校教育課長、健康推進課長・福祉保健部長・市民課長・消防局長・警防課長)・歯科医師会長JA尾道総合病院長が加わっての総会メンバーである。
尾道市医師会DDプロジェクト(2003年)
認知症対策のプロジェクトであり独自の早期診断マニュアルはNHKスペシャルでも紹介された。
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